漆の道に入ったのは、大学を卒業し会社に勤めを2年経てからでした。きっかけは茶道で扱う漆器の不思議な魅力に惹かれたことでした。
そこから次第に漆器職人になりたいと強く思うようになり、「人生は一度きり」という茶道の先生の言葉も後押しとなり、思い切ってこの世界にとびこんでみることにしました。
京都で2年、輪島で3年学んでいたのですが、その時に越前漆器の産地に来る機会があり、偶然山車を製作している職人さん達とふれあうことができました。
皆さんのお人柄と活気のある産地の雰囲気に「ここで働きたい!」と思い、いろいろ調べていく中で土直漆器に出会いました。伝統を継承しつつ、新しいものづくりにも挑み、常に技術を探究している姿勢が、この産地を象徴しているように感じ、会社の門を叩きました。
現在、下地から塗りまで様々な工程を任せてもらえ、失敗を経験しながらも充実した漆生活を送っています。今後は腕を上げることはもちろんですが、使って頂く方の側に立ったものづくりをさらに追求していきたいと思っています。

前田智子
千葉県出身